令和6年(2024年)41日をもって不動産の相続登記が義務化されました。具体的には、相続が開始して「土地や建物の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を行わなければならず、これに違反すると最大10万円の過料が科せられる可能性があるのです。

 

では、期限内に遺産分割協議がまとまらなかった場合はどうなってしまうのでしょうか。ここでは、相続登記前に遺産分割協議がまとまらない場合の対処法について説明していきます

 

相続登記義務化の背景

本来、不動産を相続した際にはすぐに登記を行い、「誰がどの土地や建物を所有しているのか」をはっきりさせる必要があります。

 

しかし、これまでは登記が任意だったため、登記手続きが後回しにされるケースが多々ありました。その結果、相続された不動産が空き家や荒れ地として放置され、地域の治安や景観への悪影響が懸念される状態が各地で起こっていたのです。長年放置されてきた「所有者不明土地問題」を解消するための措置として、相続登記が義務化されたという背景があります

 

相続登記を期限内に行わなかった場合、過料が課せられる可能性があり、このことは法律に明文化されています。

(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条又は第五十八条第六項若しくは第七項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する

e-Gov「不動産登記法」より抜粋

 

3年以内の相続登記完了が義務化

今回の義務化により、相続財産に土地や建物が含まれている場合は、3年以内に相続登記を完了させることが原則になります。

 

遺産分割協議が間に合わず単独名義を決められない場合、いったん法定相続割合で共有名義にして相続登記を進める方法もあります。もちろん、正当な理由がある場合は法務局で相談できる可能性もありますが、理由が認められなければ過料の対象になりかねません

 

法務局が認める「正当な理由」とは

では、「正当な理由」とはどういうものなのでしょうか。宇都宮地方法務局はホームページ上で次のような具体例を挙げています。

【正当な理由の例】

(1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース

(2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース

(3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース など

※宇都宮地方法務局ホームページより抜粋

遺産分割協議には時間がかかる場合がありますが、まずは期限を意識して協議を進めることが大切です。どうしても相続人間で話し合いがまとまらないときは、専門家のサポートを受けながら、共有名義で一時的に登記を済ませるなどの代替策を検討するとよいでしょう。

 

相続登記をせず放置するデメリット

相続登記をしないままにしておくと具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

 

1.所有権が不透明になり相続関係が複雑化する

相続登記をせずに長年放置すると、世代交代によって相続人が次々に変わっていきます。例えば、先代から土地を引き継いだ相続人が亡くなると、その子や孫が新たに権利を受け継ぎ、登記が行われていない状態で相続が重なると、誰が現在の所有者なのか分からなくなるケースが少なくありません。

 

相続登記が放置されるリスク

    • 複数の相続人が存在する状態でさらに次世代に引き継がれ、登記情報がますます混乱
    • 売却や譲渡が難しくなる、または同意形成に時間がかかる

 

2.近隣住民に迷惑をかける可能性が生じる

相続登記を行わず、所有者が不明確な土地や建物は、管理不十分で周囲に悪影響を及ぼす可能性があります。とくに長期間放置されると、以下のような問題が起きやすくなります

 

長期間放置によるリスク

  • 草木が生い茂り、視界を妨げる
  • 不法投棄の場として狙われやすい
  • 建物を放置すると老朽化が進み、崩落の危険が発生

もし、こうした状態が悪化して地域問題化すると、近隣住民から賠償を求められる事態にも発展しかねません。

 

3.「特定空き家」に指定されると固定資産税が高騰

相続登記の義務化は、空き家問題の解消を目指す施策の一環でもあります。老朽化した建物を放置しておくと、環境悪化や防犯リスクを高めるため、「特定空き家」に指定されるケースがあります。特定空き家に指定されると、以下のような影響を受けるかもしれません。

 

特定空き家に指定されることのリスク

    • 固定資産税の優遇措置が外され、税額が大幅にアップする可能性がある
    • 役所から改善・除却の勧告を受けることもあり、費用負担が一気に膨らむ

 

こうした財政的・法的リスクが、相続登記の放置によってさらに深刻化してしまいます。

 

3年以内に遺産分割協議がまとまらないときの代替策

3年以内に遺産分割協議を成立させることができなかった場合、次のような代替策を採るのも一案です。

 

法定相続割合による共同名義で相続登記する

期限内に協議が整わない場合、法定相続割合にもとづき、複数の相続人が共有名義として相続登記する方法があります。

 

  • メリット3年以内の登記義務をクリアできる
  • デメリット:協議が成立した後、名義人変更のための再登記が必要

 

複数人の共有名義になると、売却や活用時に全員の同意が必要となるため、将来的な手間を考慮しておきましょう。

 

相続人申告登記を行う

相続人申告登記とは、法務局に「自分が登記名義人の相続人であること」や「相続が開始した事実」を申告することで、3年以内の登記義務を一旦果たす制度です。

 

  • 活用場面:協議が長引き、すぐに最終的な相続人を決定できないケース
  • 手続き後の流れ:いずれ遺産分割協議がまとまった段階で、最終的な名義変更を行う

 

国民生活センターによると、登記官が職権で相続人の氏名・住所を所有権の登記に付記するため、手続き自体は比較的シンプルです。

 

まとめ

ここまで説明してきたとおり、できるだけ早めの対策を採り、相続登記義務違反を回避することが大切です。

 

  • 3年以内に協議がまとまらないときは以下の手段で相続登記義務違反を避ける
    1. 法定相続分で共有名義にする
    2. 相続人申告登記を活用して名義だけ先に登録
  • 共有名義で登記後は、協議が成立した段階で名義変更登記を行う手間がかかる点に注意

 

相続登記義務化について疑問や不安がある場合は、専門家への相談がおすすめです。当行政書士法人では、相続全般を扱う行政書士を窓口に、連携する司法書士や税理士と協力しながらワンストップでサポートいたします。まずは無料相談をご利用いただき、スムーズな相続手続きを一緒に進めましょう。

 

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