相続とは、被相続人名義のすべての財産や債務を相続人が引き継ぐことを指します。相続財産に含まれるものとしては、プラスの財産(現金や預貯金、不動産、有価証券など)やマイナスの財産(ローンや借金など)を挙げることができます。相続の仕組みは主に民法で規定されており、特に「相続法」による定めに則って手続きする必要があるのです。

 

民法における相続の基本ルール

民法では相続に関するルールが詳細に定められています。その中でも特に重要とされるのが「民法第896条」であり、相続手続きの根幹でもあることから、まずは同法同条を見てみましょう。

 

896条(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始のときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する

【相続開始のとき】

「相続開始のとき」とは、被相続人の死亡時点を指しています。また、条文が示すとおり、相続人は、被相続人が所有していた財産や債務などに係る「権利」と「義務」を、相続の開始と同時に包括的に受け継ぐことになります。

 

【一切の権利義務を承継する】

「一切の権利義務を承継する」とは、財産の一部だけを相続するのではなくプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐ、ということを意味しています。

 

相続されない権利義務とは

相続法によれば「一切の権利義務を包括承継する」旨が明記されていますが、例外として以下のものについては「被相続人の一身に専属した権利義務は相続されない」と規定しています。

 

  • 生活保護
  • 年金受給権
  • 婚姻費用分担請求権
  • 代理権

 

上記の権利は被相続人「個人」固有の権利であるため、相続で受け継がれる性質を持っていません。

 

相続の具体的手続きと注意点

相続手続きを行う際、重要なポイントとなってくるのが「遺産分割協議」と「相続税の申告および納付」です。

 

遺産分割協議

相続開始後は一般的に「遺産分割協議」が行われます。すべての相続人が集まり、遺産をどのように分配するかを話し合って合意を目指すのです。遺産分割協議が成立したら、話し合った内容や遺産の詳細を記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印することで法的な効力を持たせます

 

なお、遺言書がある場合は、原則として遺言書にしたがい遺産分割を進めていきます。

 

相続税の申告と納税

相続した遺産について、基礎控除額を差し引いても一定額以上となった場合は、相続税の申告と納付が必要になります。期限やペナルティがありますので、速やかに手続きを進めましょう。

 

  • 相続税の申告期限は:被相続人が亡くなった翌日から10か月以内
  • 期限切れの場合:延滞税や加算税が課される可能性あり

なお、相続税の計算や節税の可否などは複雑なため、税理士などの専門家に相談しながら正しく申告することが大切です。

 

相続法や相続用語を理解

相続で遺産を引き継ぐ際は、複数の法律の定めにもとづいて手続きしなくてはなりません。特に民法上の規定や税法上のルールは密接に関わってくるため、最低限の理解は不可欠です。また、相続手続きを進めるうえで、「遺留分」や「遺言執行者」などさまざまな専門用語が多く登場する点にも留意しましょう。

 

相続手続きをできるだけスムーズに進めるためにも、相続の関連法や仕組み、専門用語を積極的に覚えることが大切です。

 

まとめ

相続手続きでは、被相続人(亡くなった家族)の遺産(財産と債務)について、どの相続人がどの程度引き継ぐかを明確にしなければなりません。相続が発生してから相続税の申告および納付までの時間的猶予は10ヶ月しかありませんので、効率的に情報を集めて理解し、できるだけスムーズに手続きを進める必要があります。

 

必要に応じて相続に詳しい専門家に相談するなどして、相続人の間に混乱が生じないよう備えておくことが望ましいでしょう。

 

→ 相続用語集はこちら

 

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