相続手続きを進める際に不可欠な書類のひとつが戸籍謄本です。しかし、本籍地の役所へ行かなければ入手できない、離れて暮らす家族の戸籍を集めるのに時間がかかる、といった煩雑さが、これまで多くの人の悩みの種となっていました。
こうした状況を大きく改善したのが、令和6年(2024年)施行の「改正戸籍法」です。ここでは、改正戸籍法の概要や新制度で期待されるメリット、そして相続手続きとの関わりについて説明していきます。
改正戸籍法で戸籍手続きが便利に
改正戸籍法により、戸籍関連の手続きが大幅に効率化されました。中でも注目すべき変更点は主に以下の3つです。
改正戸籍法の主な変更点
| 改正点 | 利便性の変化 |
|---|---|
| 1.本籍地以外で戸籍取得可能 | 手間・時間の大幅削減。相続の初期作業が簡素化 |
| 2.行政手続きで戸籍省略可能 | 提出書類の削減、再提出リスクの低下 |
| 3.届出手続きで戸籍不要に | 婚姻・転籍などライフイベントでの負担減少 |
いずれも、戸籍を必要とする場面が多い相続手続きに大きな影響を与える可能性があります。順番に確認していきましょう。
1.本籍地以外での戸籍謄本取得が可能に
戸籍謄本や戸籍抄本を取得する場合、従来は本籍地のある市区町村へ直接出向くか、郵送で取り寄せる必要がありました。遠方に本籍がある場合は大変な手間と時間がかかり、特に相続手続きでは複数の戸籍(出生から死亡までの連続した戸籍)を集める必要があるため、利用者に大きな負担がかかっていたのです。
しかし、改正戸籍法の施行により、本籍地以外の役所でも配偶者や親、子どもの戸籍謄本をまとめて申請・取得できるようになり、相続手続きに必要な「被相続人の出生から死亡までの戸籍」や「相続人の戸籍」を最寄りの役所で一度に請求できるため、手続きにかかる手間が簡略化されることとなりました。
2.戸籍謄抄本を省略できる行政手続きが拡大
改正戸籍法では、戸籍情報を電子的に管理する新システムが導入されました。システム上で戸籍情報を確認できるようになったことから、戸籍情報の関わる行政手続きがスムーズに運ぶようになったといえます。
【戸籍謄抄本を省略できる手続き例】
- 児童扶養手当の手続きにおける戸籍関係情報の確認
- 国民年金の手続きにおける戸籍関係情報の確認
- 奨学金の返還免除手続きにおける戸籍関係情報の確認
- 健康保険の被扶養者の認定手続きにおける戸籍関係情報の確認 など
ただし、場合により戸籍謄本・戸籍抄本を求められる可能性もあります。あくまでも、法改正により利便性が高まった、と捉えた方がいいでしょう。
3.戸籍謄抄本を省略できる戸籍手続きが拡大
改正戸籍法のもう一つの大きなメリットは、戸籍謄抄本を提出しなくても済む戸籍手続きが増える点です。行政機関と法務省との間に設けられた新システムは、行政手続きだけではなく、婚姻手続きのような戸籍の届出にも活かされています。
専門家による戸籍収集の代理はどう変わる?
相続手続きでは、行政書士が戸籍収集を代理して請求するケースが多くあります。しかし、改正戸籍法にもとづく戸籍謄抄本の広域交付が認められるのは本人のみであり、専門職による代理請求は認められていません。ただし、広域交付では、兄弟姉妹や叔父・叔母などの戸籍謄本を取得できないため、広範囲に戸籍書類を収集したい場合は、専門家に依頼した方が効率が良さそうです。
なにより、相続手続きには、戸籍謄本を集める作業に加え、遺産分割協議書の作成や相続税申告、不動産登記など複雑なプロセスが多数含まれます。改正戸籍法で戸籍関連の手間が減ったとしても、手続き全体の負担を軽減するために専門家の力を借りる心強さは依然として残っているといえるでしょう。
まとめ
令和6年(2024年)施行の改正戸籍法により、戸籍関係の手続きで利便性がとても高くなりました。この変化は、相続手続きをはじめとするあらゆる行政手続きにおいて時間とコストを節約できる点で、大きなターニングポイントであると考えられます。特に、戸籍の収集が必要となる相続では、書類を集める負担が大幅に軽減される見込みがあることから、よりスピーディーで正確な手続きが期待できます。
しかし、相続は戸籍整理だけで終わるものではありません。遺言書の有無や遺産分割協議、相続税申告、不動産登記など、他にも多くの手続きがあります。書類の不備や手続き漏れがあると、後々トラブルに発展するリスクもゼロではありません。必要と感じたら、専門家の力を借りて、正しくスピーディーな相続手続きの実現を目指すことも大切です。
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