相続財産に不動産や株式などの「分けにくい資産」が含まれている場合、いったん財産を売却して金銭による遺産分割を行うことがあります。これを「換価分割(かんかぶんかつ)」といいます。

 

換価分割は公平に遺産を分配しやすいメリットがありますが、譲渡所得税などの税金が発生する可能性や遺産分割協議書の書き方に注意しなければなりません。

 

ここでは、相続不動産の換価分割でかかる税金と遺産分割協議書作成の注意点について説明していきます

 

遺産分割の3つの方法

相続財産を分けるための方法として以下の3つを挙げることができます。

 

現物分割

相続財産をそのままの形で分ける方法です。たとえば、長男が自宅を、次男が預金を相続するといったケースです。

 

代償分割

特定の相続人が不動産などを相続し、その代わりに他の相続人に金銭などで「代償」する方法です。

 

換価分割

不動産や株式を一度売却して現金化し、その代金を法定相続分などに応じて分配する方法です。公平な分配がしやすい一方、税金が発生する場合がある点に注意が必要です。

 

換価分割は譲渡所得税に注意

不動産や株式を売却して得られた利益は、譲渡所得として課税対象になります。換価分割では相続不動産を売却することが前提になりますので、あらかじめ譲渡所得税の概算を見積もっておくといいでしょう。

 

譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:被相続人がその財産を購入した金額+仲介手数料・リフォーム費など
  • 譲渡費用:売却時の仲介料、解体費、測量費など

 

譲渡所得税の税率の目安

  • 長期譲渡所得(所有期間5年超):約20
  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下):約39

※相続で取得した財産は、基本的に「被相続人が取得した日」が引き継がれます。

 

【例】不動産売却による換価分割と譲渡所得税の例

以下の条件で相続不動産を売却した場合の譲渡所得税について考えてみましょう。

 

  • 売却価格:2億円
  • 取得費:13,500万円
  • 売却にかかった費用(譲渡費用):500万円
  • 相続人:兄と弟の2名(50%ずつ分配)

譲渡所得 = 2億円 -(13,500万円+500万円)= 6,000万円

つまり、各自3,000万円の譲渡所得が発生し、確定申告が必要になることがわかります。

 

3,000万円控除】居住用財産を売却した場合の特例

自宅などの居住用不動産を売却した場合、一定の要件を満たせば、最大3,000万円の譲渡所得控除が受けられます。

 

適用条件として、実際に居住していたこと、売却日や用途変更日から一定期間内であることなどが挙げられます。

 

ただし、同じ不動産でも相続人の生活状況によっては、以下のように税負担が変わってくる可能性があるので注意が必要です

  • 弟が居住していた場合3,000万円控除
  • 兄が非居住者だった場合控除なし

 

換価分割に重要な遺産分割協議書の作成ポイント

換価分割を行う際は、遺産分割協議書の文言が極めて重要になってきます。どのような事柄を遺産分割協議書に記載すべきか、税金についてどう遺産分割協議書に記すべきか、作成ポイントを確認してみましょう。

 

遺産分割協議書に記載すべき事柄

換価分割を円滑に行うためには、遺産分割協議書に次の事柄を記載しておくと、手続きの円滑化が期待できるでしょう。

 

換価分割を行う旨を明記する

「相続不動産を売却してその代金を分配する」旨を遺産分割協議書に明記することは、換価分割の大前提となります。この遺産分割協議書にすべての相続人が合意することで、揉め事の抑制が期待できます。

 

売却代金の分配割合を明記する

たとえば、「不動産の売却代金は兄と弟が1/2ずつ相続する」といったように、不動産を売ったお金をどういう割合で分け合うか遺産分割協議書に明記することも大事です。遺産分割協議書は相続人がよく話し合ったうえで作成されるものですから、「分配割合についてはあらかじめ合意のうえ」という状況を作ることで、後のトラブルを回避できるでしょう。

 

税務上の確認

税務上、「換価分割であることが明確であれば、贈与税は課されない」とされています。また、売却代金の分割割合が明記されていなかった場合、贈与とみなされる可能性もあり、その場合は贈与税の対象になる恐れもあります。

 

そのようなリスクを回避するために、遺産分割協議書に売却代金の分割割合を明記しておきましょう。

 

換価分割の注意点

換価分割は遺産分割で生じやすい不満を回避できる優れた手段です。ただし、以下のような点には注意しましょう。

 

1.公平な現金分配が可能

不動産などを売却してから分配することで、現物の偏りによる不公平感を軽減できます。

 

2.譲渡所得税に注意

不動産や株式の売却益に対しては、所得税と住民税が課税される可能性があります。確定申告が必要になるケースも多く、注意が必要です。

 

3.居住用財産の控除を検討

3,000万円の特別控除が適用されれば、税負担を大きく軽減できる可能性があります。

 

4.遺産分割協議書は慎重に作成

書き方を誤ると、贈与と判断されるリスクがあるため、専門家にチェックを依頼するのが賢明です。

 

まとめ

換価分割は、相続財産の現金化によって公平な分配を実現できる有効な方法ですが、譲渡所得税や贈与税に注意しなければ将来的な税務トラブルを招く可能性もあります。トラブル回避のためには、遺産分割協議書に「換価分割であること」「分配割合」などを正確に記載することがとても大切です。

 

換価分割は一見シンプルですが、税務・法律・手続きの観点で誤解や見落としが起きやすい点にも注意しましょう。できるだけ、相続の専門家に相談しながら手続きを進めていくことをおすすめします。

 

弊社では、税理士や司法書士と連携して、不動産を含む相続手続きのトータルサポートを行っております。「不動産を売却して分けたいが、税金が心配」「協議書をどう書けばよいか不安」といった換価分割に関するお悩みにもお答えしますので、ぜひ初回無料相談をご利用ください。

 

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