相続が開始すると、悲しみの中で葬儀や手続きなどを進めなければならない一方、残された相続人の間で「どの財産をどう分けるか」という課題に取り組まなければなりません。そこで役立つのが、被相続人(亡くなられた方)の財産を一覧化した「相続財産目録」です。
ここでは、相続財産目録の基本的な作成方法や記載しておくと良い項目、さらには作成の際の注意点について説明していきます。
当行政書士法人が提供する財産目録作成サービスの活用についても触れていますので、遺産分割を円滑に進めるための情報として参考にしてください。
財産目録を作成するメリット
財産目録は、遺産の内容を整理して一覧化したもので、作成することで次のようなメリットを得られます。
【1】遺産内容が明らかになる
相続では、被相続人が残した財産を正確に把握する必要があります。遺産が全容不明のままでは、遺産分割協議が成立せず、後から新たな財産が発覚することで争いが生じる可能性があるからです。
財産目録を作成することで、すべての遺産を明らかにし、相続人間での公平な分割が可能になります。また、相続税の申告・納付期限(相続開始から10ヶ月)を守るためにも、早期に全財産を把握することが求められます。
【2】相続争いを予防できる
目録を作製すれば、「どの財産があるか/ないか」を明らかにすることができます。これにより、後になってから別の財産の存在が発覚するリスクを抑えられます。
遺産分割協議を行う時点で、遺産に関する正しい内容を共有できれば、相続争いの可能性も低くなることが期待できるでしょう。
【3】相続税の申告準備ができる
相続税申告にあたり、対象となる財産を正確に把握しておかなければなりません。財産目録があれば、相続税申告手続きにおける申告漏れや誤りを防ぐことができるでしょう。
【4】後見契約・家族信託・遺言との連動がしやすくなる
財産目録を作製しておけば、任意後見契約や家族信託契約、遺言書作成に際し、内容を整理・設計しやすくなります。目録が設計図の役割を果たすためです。
財産目録を自分で作成するときのポイント
財産目録は、相続における財産の全体像を把握し、相続人間のトラブルを防ぐための重要な書類です。
自分で作成する際は、まず プラスの財産(預貯金・不動産・有価証券など)とマイナスの財産(借金・未払金など)を漏れなくリスト化することが大切です。そのうえで、金融機関名や支店名、不動産の所在地、残高・評価額など具体的な情報を明記すると、後の手続きがスムーズになります。
記載形式は手書きでもパソコン作成でも問題ありませんが、相続人全員が理解できるように整理することが大切です。
財産目録の記載項目
財産目録には以下の項目を網羅的に記載します。
預貯金
預貯金については、金融機関ごとに詳細を記載します。被相続人の通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物、メールなどを確認していくといいでしょう。
【金融機関情報】
- 金融機関名
- 支店名
- 口座種別(普通預金、定期預金など)
- 口座番号
- 残高(作成時点での金額)
不動産
不動産は土地と建物に分けて記載し、登記事項証明書や固定資産税納税通知書、名寄帳などを活用して詳細を確認します。
【土地】
- 所在地
- 地番
- 地目
- 地積
【建物】
- 所在地
- 家屋番号
- 種類(居宅、事務所など)
- 構造(木造、鉄筋コンクリートなど)
- 床面積
有価証券
株式や投資信託などの有価証券を記載します。証券会社からの郵便物やメール、配当金の通帳記録などを探して確認していきましょう。
【株式】
- 銘柄
- 保有株数
- 株価
- 評価額
- 証券会社名
- 口座番号
動産(自動車など)
自動車や高価な家具、美術品なども動産として記載します。車検証や購入時の書類を参考にするか、もしこれらの書類が見つからない場合は、専門家による査定を受けて財産目録に評価額を記載するといいでしょう。
【自動車】
- 車名
- 年式
- 車両番号
- 車台番号
- 走行距離
- 評価額 など
負債
借金やローンなどのマイナス財産も記載します。借入契約書、通帳の返済記録、郵便物などを確認してみましょう。
【借入】
- 借入金の種類(住宅ローン、教育ローンなど)
- 借入先(金融機関名、個人名など)
- 借入残高(作成時点の金額)
- 毎月の返済額
- 完済予定日 など
財産目録作成の注意点
財産目録を作成する際には、次の点に注意してください。
財産の価値を更新する
長期間、内容を放置すると実勢価格とズレが生じる可能性があります。定期的な見直しが望ましいでしょう。
財産の保管場所を合わせて記載
「通帳は〇〇銀行の貸金庫」「有価証券は○○証券会社の口座」など、保管場所が分かるようにしておくと、後からわかりやすく便利です。
遺産分割協議に役立つよう詳細に
後々の遺産分割協議で混乱を避けるため、できるだけ詳細かつ分かりやすく記載しておくことが大事です。
根気よく情報収集することが大事
相続財産目録の作成は法律で義務化されていないため、「絶対に作成しなければならない」ものではありません。ただし、作成しておくことにより、相続トラブルを防止したり財産把握を効率化できたりする点は大きなメリットになるといえるでしょう。一方、財産目録の作成には手間と時間がかかりますので、根気が必要です。
財産目録作成に専門家を活用する
財産目録の作成には時間と労力がかかります。また、不動産評価や税務処理に関する知識が必要な場合もあります。行政書士や弁護士、税理士や司法書士、不動産鑑定士などの専門家に相談することも検討してみましょう。
当社の財産目録作成サービスについて
相続手続きの初期段階では、財産目録の作成が欠かせません。財産目録を作成することで、遺産分割協議を前に財産状況をきちんと整理しておくことができ、相続税申告の準備に繋がり、遺産を一覧で確認できるというメリットを得られます。
ただし、被相続人が多岐に渡る遺産を遺していた場合、その1つ1つについて詳細を調べたり整理したりする作業は時間がかかるうえ、大きな手間も要します。このような状況に備えて、当行政書士法人では、相続人の時間と手間を省き相続手続きをスムーズに進めるための「財産目録作成サービス」を提供しております。
また当社では、原則として財産目録を公正証書で作成することとしています。
当社の相続財産調査代行サービスについて
当社で財産目録作成の代行を受けた場合、当社は相続財産の調査および財産目録の作成という2つの業務を遂行することになります。そこで、当社としては、遺産について調査する「相続財産調査代行」と「財産目録作成」の両サービスを併用されることをお勧めしています。
相続財産調査代行サービスでは、預貯金や有価証券などの有無・生前贈与の有無・銀行などの残高証明書の取得・借入金調査・不動産の名寄閲覧調査などについて調査を進めます。
まとめ
相続税の申告と納付の手続きは相続開始を知ったときから10ヶ月の間に済ませなければなりません。限られた期間内に適切な手続きを行うことが、相続をスムーズに進めるために非常に重要です。相続税申告や財産目録作成には時間と専門的な知識が求められますので、できるだけ早期に準備を始め、スムーズな手続きを目指すことが大切です。
このような手続きを円滑に進めるためには、相続の専門家への相談や依頼も検討してみましょう。特に、財産目録の作成や相続税の計算に関するアドバイスを得ることで、相続人同士のトラブルを防ぎ、正確かつ迅速に手続きを進めることが可能になります。
当行政書士法人では税理士などの専門家と連携し、相続税申告や財産目録の作成など、相続に関するあらゆる業務を幅広く扱い多くの実績を積んできました。初回相談は無料ですので、財産目録の作成を検討されている方や相続手続きに関するサポートを希望される方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。










