「法定相続情報一覧図」とは、相続人と被相続人の関係を家系図のように整理した公的な文書で、相続手続きにおいて重要な役割を果たします。法務局に申請し認証を受けることによって、この一覧図は正式に効力を持ちます。では、法定相続情報一覧図はどのように作成し、申請するのでしょうか?
ここでは、作成方法や自分で行う申請手続きについて、さらに注意すべき点を詳しく解説します。
法定相続情報一覧図の活用方法
相続手続きが始まると、被相続人と相続人の関係を証明するために、さまざまな公的書類が必要となります。一般的には、戸籍謄本や除籍謄本などを取得して相続関係を証明しますが、複数の財産がある場合や多くの手続きが必要な場合は、書類の手配が非常に手間になります。
ここで活躍するのが、「法定相続情報証明制度」です。これは、相続関係を一覧化した「法定相続情報一覧図」を法務局に提出し、登記官から認証を受けることで、相続関係を証明するための公的文書として利用できる制度です。この制度を利用することで、戸籍謄本などを何度も取得する手間を省くことができ、手続きを効率的に進めることができます。
法定相続情報証明制度の活用方法
平成29年に創設された法定相続情報証明制度は、当初は相続登記を簡便にする目的で導入されましたが、令和2年10月からは対象が拡大し、さまざまな相続手続きに利用できるようになりました。例えば、次の手続きにおいて法定相続情報一覧図が役立ちます。
不動産・有価証券・車などの名義変更手続き
- 金融機関での預金払い出し手続き
- 年金などの各種手続き
- 相続税申告手続き など
さらに、法定相続情報一覧図の提出により生命保険金を請求できる場合があるため、被相続人が加入していた各生命保険会社に確認することをお勧めします。
法定相続情報一覧図を自分で申請する流れ
法定相続情報一覧図を作成したら、法務局で登記官による認証を受けましょう。ここでは、自分で行う場合の法定相続情報証明制度の手続きの流れと必要書類、注意点について説明します。
申出人の選定
申出人となるのは、亡くなった被相続人の相続人(またはその代理人)です。代理人を選任することもでき、代理人は以下の人物が可能です。
- 法定代理人
- 相続人の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
- 司法書士や弁護士などの専門職(士業)
必要書類の準備
手続きには以下の書類を用意します。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
- 申出人の身分証明書類
※【場合により必要となる書類】
- 各相続人の住民票(任意で住所記載を希望する場合)
- 代理人が手続きを行う場合の委任状や代理人の身分証明書
法定相続情報一覧図の作成
法定相続情報一覧図を作成します。手書きでも問題ありませんが、法務局の作成例を参考にして進めましょう。記載事項として、相続関係を正確に記入することが重要です。
申出書の提出
必要書類と法定相続情報一覧図を、所定の法務局に提出します。提出先は以下のいずれかです。
- 被相続人死亡時の本籍地を管轄する法務局
- 被相続人の最後の住所地を管轄する法務局
- 申出人の住所地を管轄する法務局
- 被相続人名義の不動産所在地を管轄する法務局
郵送での提出も可能ですが、追跡番号がついた手段(レターパックなど)を選択することが推奨されます。
審査と認証
書類に不備がないか法務局で審査が行われ、約1週間から10日後に法定相続情報一覧図の写しが送られてきます。書類に不備がある場合は、指示に従い必要な修正を行い、再提出します。
注意点と制度利用の制限
法定相続情報証明制度の利用には、以下の制限または注意点があります。
- 日本国籍が必要: 日本国籍を有していない場合、戸籍謄本の取得ができないため、この制度を利用できません。
- 法定相続情報一覧図の書式: 用紙はA4サイズを縦向きで使用し、長期保存に耐える丈夫な白紙を使用します。手書きの場合、文字は判読できるように記載し、パソコン入力でも構いません。
- 再交付の申請: もし新たに遺産が見つかり、追加の法定相続情報一覧図が必要になった場合、再交付申請が可能です。
まとめ
法定相続情報証明制度を活用すれば、相続手続きが一層スムーズに進みます。戸籍の収集が煩雑な場合や、相続人が多数いる場合など、非常に役立つ制度です。
相続が起こると、さまざまな手続きを同時進行的に進めなければならず、また法的知識や専門知識が必要な場面がいくつも発生します。相続にまつわるお困りごとについて専門家に相談したい場合は、ぜひ当行政書士法人の無料相談をご利用ください。この制度を上手に活用し、相続手続きを効率的に進めましょう。










