親が認知症になると、相続手続きに大きな支障が生じることがあります。
たとえば、遺産分割協議を進めたくても、本人が判断能力を失っていると法的に有効な合意ができません。また、相続放棄などの手続きでも特別代理人の選任が必要になるケースがあります。
ここでは、相続人となった認知症の親が直面しやすい課題と具体的な対処法について説明していきます。
認知症の親が相続人に含まれるときの対応策
認知症の親が相続人である場合、そのままでは遺産分割協議に参加できず、相続手続きが停滞したり不利益を被ったりする可能性が出てきます。
このような場合は、成年後見制度や特別代理人の選任を活用することで、認知症の相続人の権利を守りながらスムーズかつ公平な相続を進める方法を検討してみましょう。
【1】成年後見制度
成年後見制度は、認知症・知的障害など判断能力が不十分な方を法的に保護する制度です。家庭裁判所が後見人を選任すると、後見人は被後見人(認知症の親など)に代わって契約・遺産分割・財産管理を行うことができます。
成年後見人を選任するには、被後見人に関する医師の診断書や申立書、財産目録などを用意して提出する必要があります。また、後見人は、弁護士・司法書士・行政書士・親族などの選択肢から裁判所が選定します。
成年後見人の主な役割
成年後見人の主な役割は以下の通りです。
- 被後見人の財産調査・管理
- 法律行為の代理(遺産分割協議、不動産売却・名義変更など)
- 家庭裁判所への定期報告義務(収支や使途の報告)
ただし、後見人と被後見人がいずれも相続人である場合、利害対立のおそれが生じるため、特別代理人を別途選任することが求められます。
【2】特別代理人制度
「認知症の親が相続人」「親の後見人も相続人」といった場合、利害関係が衝突するおそれがあります。このような場合、家庭裁判所は特別代理人を選任し認知症の親の立場を守ります。
特別代理人は、遺産分割協議への参加、名義変更、契約代理などを行い公平な相続を支える役割を果たします。選任手続きには、申立書、親族関係図、戸籍謄本、後見人の審判書などが必要です。
親が元気なうちの対策がカギ
認知症の親が相続人になる可能性を踏まえ、元気なうちから相続対策を行っておきましょう。
認知症が極めて軽微なうちの対策
認知症の兆候が見られた段階で、成年後見制度の利用や遺言書の作成を検討しておくとスムーズです。
認知症に備えた後見人/特別代理人の候補者選び
誰を後見人・特別代理人にするか慎重に考え、信頼できる第三者を選びましょう。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、後見人または特別代理人が適切に署名・押印できる形で準備しておきます。
名義変更ほかの手続きの準備
不動産・預貯金等の名義変更は、後見人・特別代理人による代理申請が必要になることがあります。事前に情報を確認しておくといいかもしれません。
まとめ
認知症の相続人がいるときは成年後見人の選任が不可欠ですが、それだけでは解決しない場合もあります。成年後見人となるべき人が相続人でもある場合は、別途、特別代理人を選任して利害相反を防ぐことが求められます。こうした制度を正しく活用することで、以下のメリットが得られます。
- 被後見人(認知症の母)の相続分を適切に守る
- 公正な手続きを踏むことで、家族間トラブルを未然に防ぐ
- スムーズな遺産分割協議を進め、迅速に相続手続きを完了
相続に関する制度は複雑であり、一度手続きを誤ると後々大きな問題へ発展するリスクがあります。相続に強い専門家の力を借りながら、円満かつ公平な相続を実現しましょう。
当行政書士法人ではあらゆるパターンの相続手続きに対応することが可能です。相続人の中に認知症の方がいるなどお困りの場合は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。










