相続が始まると、「被相続人と相続人の続柄」を示す図を作ることになるケースが出てきます。なかでも、相続関係説明図と法定相続情報一覧図は似た役割を持つ一方、法務局による認証の有無や提出先での扱いが大きく異なる点に注意が必要です。
ここでは、両者の具体的な違いと作成方法、さらにはそれぞれの活用場面・申請手順について説明していきます。相続手続きを効率化するために、どの書類を使えばよいのか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
相続関係説明図とは?任意作成の私文書
相続関係説明図とは、被相続人(亡くなられた方)と相続人の関係性を家系図のように示した図で、氏名や生年月日、死亡年月日などを記載します。たとえば、配偶者や子、孫、兄弟姉妹などの相続上関係がある人物を線でつなぎ、相続関係を一目で理解できるようにします。
- メリット:相続人同士や金融機関などで「誰が相続人か」を確認しやすい
- デメリット:あくまで私文書であり、法的証明力は持たない
相続手続きにおいて、相続関係説明図そのものは任意作成となります。実際の相続手続きでは戸籍謄本などの追加資料を要するため、相続関係説明図単独では手続きが完了しない点に注意しましょう。
法定相続情報一覧図とは?法務局が認証する公文書
一方、法定相続情報一覧図は、相続開始後に法務局の認証を受けることで、戸籍謄本に代わる公的な証明書として利用できる制度です。
- 法務局に必要書類を提出し、認証された「法定相続情報一覧図の写し」を複数枚取得することで、各種相続手続きを効率化できる
- 金融機関の口座解約、相続登記、保険金請求などで使う際に、戸籍謄本の原本提出を省略できる可能性が高い
法定相続情報一覧図には認証文が付されることから、相続関係説明図とは異なり「証明力がある」という大きな特徴があります。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図の3つの違い
両者は「被相続人と相続人の関係を図示する」点で似ていますが、以下の点で明確な違いがあります。
法的証明力の有無
- 相続関係説明図:私文書扱いで証明力はなく別途戸籍謄本の添付が必要
- 法定相続情報一覧図:法務局認証の公的文書であり戸籍謄本の代わりに手続き先へ提出できる
作成・申請の手間
- 相続関係説明図:任意作成で自由度が高い。パソコンや手書きでOK
- 法定相続情報一覧図:法定フォーマットに則り、被相続人の全戸籍謄本・相続人の戸籍謄本などを揃えて法務局に申請。発行されるまで数週間かかる場合も
記載範囲
- 相続関係説明図:相続放棄者や数次相続の人物もメモ的に書ける
- 法定相続情報一覧図:あくまでも相続開始時点の法定相続人を証明する文書。相続放棄や数次相続が発生した者は原則反映不可
相続関係説明図の作り方|基本的な手順
相続関係説明図は私文書であるため、特に厳格なルールはありません。以下の流れで作成するとスムーズです。
戸籍関係書類を取得
- 被相続人の「出生から死亡までの戸籍(除籍、改製原戸籍含む)」
- 被相続人の住民票除票 or 戸籍の附票
- 全相続人の戸籍謄本(または戸籍抄本)、住民票など
必要情報を整理
- 被相続人の氏名・死亡日・最後の住所
- 各相続人の氏名・続柄・生年月日・住所
相続関係を作図
- 「被相続人」を中心に家系図のように線でつなぎ、必要事項(名前・続柄・生没年月日)を記載
- 配偶者は二重線、子は一本線でつなぐなど、分かりやすい表示にする
作成日・作成者名を記入
- 完成日時と、誰が作成したかを記載しておくと後で確認がしやすい
法定相続情報一覧図の申請方法
法定相続情報一覧図を取得するには、以下の手順で申請します。
必要書類の準備
- 相続情報一覧図(法務局HP等で記載例を参照)
- 申出書(同上)
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本
- 被相続人の住民票除票
- すべての相続人の戸籍謄本(抄本可)
- 申出人の本人確認書類(運転免許証など)
登記所へ申出
- 被相続人の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地、または被相続人名義の不動産所在地を管轄する登記所に、上記書類を提出
- 郵送申請も可能。返信用封筒と切手を同封
認証された一覧図の受け取り
- 申請が受理されると、法定相続情報一覧図の認証文が付された写しを取得可能
- これを複数枚無償で交付してもらい、各種相続手続きで戸籍謄本の代わりに使う
法定相続情報一覧図を使うべきケース
以下のケースでは、法定相続情報一覧図があった方が、手続きがスムーズになることが想定されます。
- 相続手続きが多岐にわたる場合:複数の銀行口座や証券口座、不動産があるなど、戸籍謄本の提出先が多い場合に有効
- 戸籍謄本の原本還付が不要:一覧図があれば、公的書類として各手続き先に提出できる
- 時間と手間をかけても後々の効率を高めたい:相続関係説明図+戸籍謄本だけで十分なときはよいが、大規模・複雑な相続には一覧図が役立つ
まとめ
相続関係説明図と法定相続情報一覧図のうちどちらを利用すべきか、その判断は、相続財産の多さや手続き先の数によって変わります。相続人が少ない・財産が限られているなら相続関係説明図と戸籍謄本で十分だともいえますし、多くの口座解約や不動産名義変更が必要なときは、法定相続情報一覧図を取得しておくと、最終的に手間と時間を省けるでしょう。
当行政書士法人では、下記の業務を含めた各種相続手続きをサポートしています。
- 被相続人や相続人の戸籍収集代行
- 出生から死亡までの戸籍謄本を含め、多数の役所を跨ぐ取得が必要な場合もスピーディーに対応
- 相続関係説明図の作成代行
- 戸籍情報をもとに相続人を確定し、分かりやすい説明図を作成
- 法定相続情報一覧図の申請代行
- 希望があれば、法定相続情報一覧図の作成・登記所への申請もサポート
相続人が30名以上にのぼるような大規模案件の経験もあり、遠方の本籍や改製原戸籍を取り寄せるときのノウハウも有しています。「戸籍の取得から整理、図面作成までワンストップで任せたい」とお考えなら、ぜひ無料相談をご利用ください。










