相続が発生した際、被相続人が所有していた不動産の状況を正確に把握することは重要です。不動産は相続税の課税対象になるため、早めに調査を進めましょう。その際に役立つのが「名寄帳(なよせちょう)」です。名寄帳を取得することで、被相続人名義の不動産情報を一括で確認することができます

 

ここでは、名寄帳の概要や取得手続きの方法、東京都を例とした具体的な手順について詳しく説明していきます

 

名寄帳とは

名寄帳は、市区町村が作成・管理する台帳で不動産所有者ごとに整理されています。主に固定資産税の課税を目的に使用されますが、相続手続きにおいても非常に役立ちます。名寄帳を確認することで以下の情報を得られます。

 

所有者情報:不動産の登記名義人や納税義務者を確認可能。

  • 不動産の所在地と地番:土地や建物の住所・地番を正確に把握できる。
  • 固定資産税評価額:相続税計算の参考となる土地・建物の評価額。
  • 課税標準額:固定資産税を算出する際の基準額。
  • 地目・地積:土地の用途(宅地、畑など)や広さを確認可能。
  • 建物情報:家屋番号、建物の用途(住宅、事務所など)、階数など。

 

これらの情報をもとに、被相続人が所有していた不動産を把握し、相続手続きを進めることができます。

 

東京都における名寄帳の請求方法

名寄帳の請求手続きやその活用方法について、東京都を例に説明していきます。

 

東京都での名寄帳請求方法

東京都では、以下の方法で名寄帳を請求できます。

 

都税事務所窓口での申請方法

窓口での申請は、固定資産の証明や閲覧を迅速に行える方法です。ただし、証明と閲覧で申請可能な場所が異なりますので注意してください。

 

  • 受付時間:平日 8:30~17:00
  • 証明:23区内の都税事務所であれば、他区の資産でも申請可能。
  • 閲覧:資産が所在する区の都税事務所でのみ申請可能。
  • 必要書類:原則、原本の提示が必要。

※毎年4月初旬は窓口が混雑します。お急ぎでない場合は、この時期を避けることをおすすめします。

 

郵送での申請方法

郵送を利用すれば、都税事務所に出向くことなく証明や閲覧を依頼できます。ただし、土地・家屋と償却資産で手続き先が異なります。

【土地・家屋の申請先】

申請先:都税証明郵送受付センター
対象となる証明・閲覧の種類:

  • 固定資産(土地・家屋)評価証明
  • 固定資産(土地・家屋)関係証明
  • 固定資産(土地・家屋)物件証明
  • 土地・家屋課税台帳
  • 土地・家屋名寄帳

対応地域:23区内の土地・家屋に限る

所要時間:申請から送達まで1週間~10日程度

 

【償却資産の申請先】

申請先:各都税事務所

対象となる証明・閲覧の種類:

  • 固定資産(償却資産)評価証明
  • 固定資産(償却資産)関係証明
  • 償却資産課税台帳

 

電子申請の利用方法

電子申請は、パソコンやスマートフォンから「電子申請システム LoGoフォーム」を通じて手続きすることができます。償却資産は対象外

 

名寄帳に係る手数料

証明や閲覧には以下の手数料が必要です。

【証明手数料】(1回の申請あたり)

  • 1件目:400
  • 2件目以降:1件ごとに100円(同一区内・同一人の所有に限る)

 

【閲覧手数料】(1回の申請あたり)

  • 固定資産課税台帳:300円(「土地」「家屋」「償却資産」の種類ごと)
  • 土地・家屋名寄帳:300円(納税義務者ごと)
  • 地籍図:300

◆共有名義と単独名義の名寄帳があった場合、それぞれに300円の手数料がかかります。

※東京都主税局ホームページ参照

 

名寄帳の読み解き方

名寄帳を正確に読み解くことで、不動産の詳細な情報を把握できます。以下は主な確認ポイントです。

 

【土地情報】

  • 所有形態:単独所有や共有所有を確認できます。
  • 所在地:住所や地番の詳細を確認できます。
  • 地目・地積:土地の用途(宅地、畑など)や広さを確認できます。
  • 固定資産価格・課税標準額:土地の評価額や税算出の基準額がわかります。
  • 持分:共有地の場合、各所有者の割合を確認できます。

 

【建物情報】

  • 家屋番号:建物の識別番号です。
  • 種類:建物の用途(住宅、事務所など)を確認できます。
  • 階数:地上や地下の階数を確認できます。

 

名寄帳請求時の注意点

名寄帳請求にはいくつかの注意点があります。

 

最新情報が反映されていない可能性がある

名寄帳の情報は、毎年11日時点のものです。12日以降に不動産を取得した場合、その情報が反映されるのは翌年以降になります。

 

個人名義の不動産のみ記載されている

個人名義の不動産を調べる場合、法人名義の不動産は記載されません。法人名義の不動産を確認するには、法人名義での名寄帳請求が必要です。

 

自治体ごとに請求する必要がある

名寄帳は各自治体で管理されています。複数の自治体に不動産を所有していた場合、それぞれの自治体で請求を行う必要があります

所有者が亡くなっている

申請者が相続人であることを証明する必要があります(戸籍謄本、住民票の除票など)。調査対象の氏名と住所を正確に記載しないと、照合ができず不発行となる場合があります。

地目や家屋番号が不明である

不動産の詳細がわからない場合でも、名寄帳で全ての情報が一覧表示されるため、土地の有無の確認にも活用できます。

23区内と市町村をまたぐ

所有者が都内の複数自治体に不動産を持っている場合、各自治体に個別で申請が必要です。東京都内で一括取得はできません。不動産の所在が曖昧な場合は、固定資産税の納付書や課税通知書の保管が手がかりとなるでしょう。

名寄帳請求が必要なケース

名寄帳の請求が必要なケースとして以下を挙げることができます。

 

固定資産税非課税の不動産がある場合

固定資産税通知書が送付されないため、名寄帳で確認する必要があります。

 

共有名義の不動産がある場合

被相続人がどの程度の持分を有していたかを名寄帳で確認します。

 

遠方の不動産がある場合

相続対象となる不動産が別地域にある場合は、その自治体に名寄帳請求を行います。

 

まとめ

名寄帳は、被相続人の不動産情報を正確に把握するために欠かせない資料です。ただし、請求方法や読み解き方には注意が必要です。不動産の特徴や評価額を正しく理解することで、遺産分割協議や相続税申告をスムーズに進めることができます。

 

相続について現在お困りのことがある場合は、専門家に相談することをお勧めします。当行政書士法人でも、ご相談者様から丁寧にお話を聞き取り、スムーズな手続きを実現するためのロードマップをご提示しております。不動産を含む相続手続きの経験も多数ございますので、ぜひ当行政書士法人の無料相談をご利用ください。

 

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