ライフスタイルの変化や住み替えを考えている方にとって、マイホームの売却は重要な決断です。しかし、マイホームの売却益には譲渡税がかかるため、売却価格が高くても手元に残る金額が減ってしまう可能性があります。そんな時に有効なのが、マイホーム売却に伴う税制特例である「3,000万円の特別控除」なのです。

 

ここでは、3,000万円の特別控除に係る仕組みや適用を受けるための手続きについて説明していきます

 

譲渡所得の課税ルール

不動産を売却して利益が出ると、その利益は「譲渡所得」として課税対象になります。譲渡所得税は短期譲渡所得(所有期間5年以下)と長期譲渡所得(所有期間5年以上)で税率が変わる点も押さえておきましょう。たとえば所有期間が5年を超える場合は税率が低めに設定されていますが、大きな利益が出た場合の税負担は無視できません。

 

3,000万円控除特例とは?

居住用財産の譲渡に関する3,000万円控除」とは、マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合に、最大3,000万円までの金額を控除できる制度です。結果として、譲渡所得税の課税対象額を大幅に圧縮でき、手元に残るお金が増える可能性があります。

 

3,000万円控除の適用条件

以下の条件をすべて満たしていれば、譲渡所得から3,000万円を差し引いた後に税率がかかる形となり、納税額を大幅に軽減できることになります。

 

売却する物件が居住用であること

マイホーム(主に生活の拠点としていた住宅)が対象

 

住まなくなった日から3年以内に売却すること

かつて居住していた住宅でも、3年を超えると特例の適用が難しくなる

 

被相続人が死亡時点で単身居住していた物件であること

同居人がいないことが条件の一つ

 

昭和56531日以前に建築された建物であること

築年数の制限があり昭和56年5月31日以前の耐震基準が古い建物が対象(なお、マンションなどの区分所有建物は対象外)

 

耐震リフォーム済みあるいは建物取り壊し後の敷地売却であること

空き家を解体して更地にして売却するか、もしくは耐震改修(リフォーム)で現行の耐震基準をクリアしてから売却する(耐震基準を満たしている建物ならリフォームは不要)

 

買主が親族ではないこと

売却先が配偶者や親子など特別の関係者ではない

 

老人ホーム入居者の場合

被相続人が老人ホームなどに入居中で自宅が空き家になっていた場合でも、一定要件(生前に賃貸に出していない等)を満たせば特例適用可

 

その他の条件

  • 譲渡価格が1億円以下
  • 過去に本特例を利用していないこと
  • 他の特例との重複適用がないこと

     

    譲渡所得の計算方法

    譲渡所得は、次の計算式で求めることができます。

    譲渡所得=(売却価格)−(取得費)−(譲渡費用)

    • 売却価格:実際に不動産を売却した金額
    • 取得費:購入時の代金・建設費・仲介手数料等から、所有期間中の減価償却費を差し引いたもの
    • 譲渡費用:売却時に支払った仲介手数料、測量費用、印紙税、解体費用など

    たとえば、マイホームを4,000万円で売却し、取得費と譲渡費用の合計が2,500万円だった場合の譲渡所得は1,500万円となります。ここから3,000万円控除を適用すると、譲渡所得がゼロとなるため譲渡所得税を支払わずに済むケースも出てくるでしょう。

     

    確定申告と必要書類

    3,000万円の特別控除を利用したい場合は、必要書類を揃えて確定申告しなければなりません。特に、不動産の譲渡所得は分離課税として扱われるため、給与所得とは別枠で申告書を作成する必要があります。

    【確定申告書類】

    • 確定申告書B
    • 分離課税用の申告書
    • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
    • 売買契約書(コピー)
    • 登記事項証明書
    • 取得時・売却時にかかった経費の領収書 など

     

    注意点と特例の除外ケース

    3,000万円の特別控除の特例は「正当な売却」によって利益が発生した場合を想定しています。そのため、親子や夫婦などの近親者間取引や、別荘・投資用物件の売却は基本的に対象外です。また、過去に「マイホームの買換え特例」や「譲渡損失の繰越控除」など他の特例を受けていた場合も、重複適用はできないので注意が必要です。

     

    相続を伴うケース

    マイホームの売却と相続が絡むケースも少なくありません。たとえば、親から相続した実家を売却する場合などは相続税の申告や相続登記が関わってくるため、専門家のサポートを得て正しく申告することも検討してみましょう。

     

    まとめ

    マイホームの売却はライフプランを左右する大切なイベントです。税制特例を最大限に活用するためにも、税理士や行政書士、司法書士などの専門家に早めに相談し、スムーズに手続きを進めましょう。

     

    当行政書士事務所では、税理士や司法書士などの専門家と連携し、不動産を含む相続手続きやマイホーム売却時の3,000万円特別控除適用のお手伝いはもちろん、相続全般の手続きや元気なうちの生前対策にいたるまで総合的なサポートが可能です。

    • 税制特例の適用可否の確認
    • 確定申告書類の作成サポート
    • 相続や贈与が絡む不動産売却の手続き支援

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